オグプロ?

日本語ラップ カレー Mr.Children 煙草 が好物です。

エレベーター

 

 

 ベランダから下を見ていると、引き込まれてそのまま落ちそうになる事がある。散歩中に向こうからこちらに向かって来る人が、服の中にナイフを隠し持っているんじゃないかと思い、すれ違うまでに手の届かない所まで離れる。またアイツが来た。『恐怖』である。歩道を歩いていると、後ろからトラックが突っ込んできて頭と胴体が離れそうに感じる時がある。一台も車がいない道で一歩だけ建物側に寄りながら一人で歩く。

 のんびり釣りをしている人を見ていても、海から巨大なタコを釣り上げてそのままおじさんが食われそう、と思えて落ち着かない。こうなると「食われるかもしれない」ではなく、「食われそう」と感じてしまう。無視する事も出来ないので、またどこかに移動する羽目になる。

 エレベーターを待っている時も、中に女の幽霊がいる気がして、少し身構えながら待っておく。案の定扉が開くと黒髪で長髪、色白で白い洋服を纏った幽霊がいる。中から出ずにいるのでとりあえず乗ってみた。彼女はまだ俯いたままだ。

自分   こんばんは。どこの階の人ですか?

幽霊  …。

自分  こんな事聞くの失礼かもしれませんが、あなた幽霊ですよね?膝から下透けてますよ。

幽霊  …はい。幽霊です。

思ったよりアニメ声だった。

自分  僕、初めて幽霊見たんですけどやっぱり『ザ・幽霊』って感じなんですね。

幽霊  ……。

耳が赤くなっている。幽霊でも恥ずかしさはあるのだろうか?

幽霊  …ですよね。自分でもこれじゃあ幽霊過ぎるかなぁ、と思ってました。もっと今風の服の方が良いですか?

自分  ヒールとか履いたら良いんじゃないですか?

幽霊  いえ、私透けてるので。

自分  …そうですよね。すみません。

幽霊 そういえば、初めからボタン押してませんよ。私が押しますね。

 

と言うと彼女は『開』ボタンを押した。恐ろしい。僕は上に行くためにエレベーターに乗ったはずなのに何故開けるのだろう。初めから分かっていたなら何故教えてくれなかったのだろう。何故話しかけたのだろう。怖くなり、必死に走って階段を登る。

後ろから幽霊に追いかけられていそう。階段が崩れ、そのまま地面に落ちて身体がぐちゃぐちゃになりそう。勢い余って柵を飛び越えて落ちそう。そんな事を思いながら必死に逃げる。いつの間にか街を一望出来る屋上まで来てしまった。一息つくと、また奴が来た。

「この街全員がお前の命を狙っている。」

どこにも逃げ場は無い。